近年、日本各地でクマの出没が相次ぎ、人的被害が増えています。
山里だけでなく、住宅街や通学路にも姿を見せるようになり、自治体は対応に追われています。
こうした中で注目されているのが「狩猟ハンター」の存在。
実は今、狩猟免許を新たに取得する人が全国的に増加しています。
この記事では、ハンターになるためのステップと、現場が直面する課題を詳しく見ていきます。
🏞 :クマ被害が拡大する背景
環境省によると、2024年度のクマによる人的被害は過去最多。
背景には、
- ドングリの不作によるエサ不足
- 山林の過疎化と人間活動の変化
- 温暖化による活動時期の拡大
が挙げられます。
クマは本来、人を避ける動物ですが、食糧難と環境変化が行動圏を広げ、
「人の暮らす場所=エサ場」と誤認するケースが増えています。
🧩 :狩猟免許取得が増えている理由
2025年、全国で狩猟免許の申請者数は前年の1.4倍に。
背景には「地域の安全を守りたい」という意識と、
「自治体からの駆除要請の増加」があります。
特に東北や北海道では、
- 若い世代の新規ハンター
- 退職後に地域貢献を目的に取得する人
が増えています。
🧭 :狩猟ハンターになるためのステップ
🥇 ステップ1:免許区分を選ぶ
日本の狩猟免許には4種類あります。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 網猟免許 | 網で鳥獣を捕獲 |
| わな猟免許 | くくり罠・箱罠など |
| 第一種銃猟免許 | 散弾銃などの使用可 |
| 第二種銃猟免許 | 空気銃のみ使用可 |
クマの駆除に関わるのは主に第一種銃猟免許です。
🥈 ステップ2:試験内容と費用
試験は年1〜2回、都道府県ごとに実施。
- 筆記試験:鳥獣や安全管理の知識(過去問で対策可能)
- 適性検査:視力・聴力・運動能力の確認
- 技能試験:銃の扱い方、距離感、捕獲の判断
💰 費用目安:
- 受験料:5,200円前後
- 講習会・教材費:約1〜2万円
- 銃所持許可・保管設備まで含めると総額40〜50万円程度。
🥉 ステップ3:銃所持許可と登録
狩猟免許を取得しても、銃を使うには別途「銃所持許可」が必要です。
- 警察の身辺調査
- 精神鑑定・講習受講
- 銃の保管庫・装薬ロッカー設置
安全面を重視しており、最初の1丁を手にするまで半年〜1年かかるのが一般的です。
⚒️ :現場のリアル ― ハンターの課題とは
🦌 高齢化と人手不足
全国のハンターの平均年齢はおよそ60歳。
若手が少なく、クマ出没対応では自治体が同じメンバーに何度も要請する状況が続いています。
💰 報酬とリスクのバランス
1回の出動で支払われる報酬は数千円〜1万円程度。
一方で、弾薬代や装備・交通費は自己負担が多く、
「地域のために無償で動く人」も少なくありません。
🧠 技術・安全教育の不足
駆除は危険を伴うため、経験と判断が不可欠。
しかし、新規ハンターが十分な指導を受けられる体制が整っていない地域もあり、
「安全教育の強化」が今後の課題です。
🧰 :新しいクマ対策 ― テクノロジーと連携
最近では、
- ドローンによる追跡
- AIでの出没予測
- 発信器付きの個体管理
など、“撃つ前に防ぐ”技術も進んできています。
また、地域住民がスマホで出没情報を共有するアプリも登場。
「ハンター×テクノロジー×地域連携」が今後の主流になるでしょう。
🌲 まとめ
クマとの共存は「他人事」ではなく、地域全体の課題です。
ハンターの存在は命を守る最前線ですが、
制度・教育・支援が追いついていない現実もあります。
これからのクマ対策は「銃」だけでなく、
知識・テクノロジー・地域の絆が重要になります。
もし「自分にできることは?」と思ったら、
地元自治体の防災講習や狩猟講習会の情報を一度覗いてみてください。
あなたの行動が、次の“備え”になります。

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